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鬼士 氏江 の事

鬼士 氏江 の事

母は俺が幼い頃、俺に意味が分からないことをよく聞かせていた

氏江ちゃん、私達はね、普通の人達とは少し違うの

そうね・・・人とは違う血が混ざっているの

ね・・・氏江ちゃん、人は恐ろしい生き物なの

私達は目立っちゃいけないの

怒りに満ちた時でも作り笑いでもいいから人の前では笑っていなさい

人の力はとても怖いもの・・・そして私達も・・・

辛い時はこの唄を思い出しなさい





鬼の血の色は曼殊沙華
鬼と人の狭間で乱れ舞う
曼殊沙華の根が朽ちるまで

人が曼殊沙華を忌み嫌う様に
呪われし血脈は痛みを覚え花開く
金色(こんじき)の眼(まなこ)と異形の姿はその証
血が沸き立つことなかれ





俺が成人した矢先に母が死に

社会の中に身を置いた

母が聴かせた唄の意味が分かったのはその後だった

母と共に学生の頃から目立たないようにと暮らしていた

人の子というのは本能の塊で弱者には容赦がない

よくいじめられたものだ

でもそれは大人になってからもそうだった

それは人という生き物の本能なのだろう

理性というものは本能の下層にあるものなのだ

だがそれは俺も同じ事

それが弾けそうになる





「鬼士君、朝のお茶はまだ!」

「君の唯一の仕事なんだからさぼっちゃいけないよ」

「弱肉強食の世界なんだからさぁ~、僕を見下したいなら僕の上に行かないと」

「まぁ、君には無理だろうけどさぁ」





「おっと、もうこんな時間か、寒くなると日も縮むからな~」

「さぁ、帰るとするか・・・おっ!!吉田君も残っていたのか、ちょっと一杯行こうか」

  「ハイ、喜んで!!部長!!」





  「部長、もう鬼士さんの尻ぬぐいは嫌ですからね」

  「部長も早くどうにかしないと、彼はお荷物にしかならないですから」

「もうそろそろ上に行けるかもしれないんだよ、吉田君」

「そしたら君も昇進できるように後押しをするからもう少し付き合ってくれよ」

  「しょうがないな~、頼みますよ部長」

「もうそろそろ終電だ、今日はここまでとしよう」

  「僕、駅までの近道、知ってますよ!」

  「細い路地ですけど、すぐに駅に出るんですよ」





「吉田君、僕はね~」

  「部長、飲みすぎですよ~」

  「この路地を抜ければ駅前ですから」

「んっ!!なんか物音がしなかったかね・・・吉田君?」





鈍い音とともに声にならない悲鳴が街の騒音にかき消された

「よ!!吉田君!?」

  「部長・・・足が足が!!」

「き!!君は!!・・・き!?・・・鬼士君・・・なのか!?」




8561111.jpg





「く・・・首が・・・息ができない・・・た!!助けて・・・」

部長と吉田さん・・・弱肉強食というのはこういう事なんですよ

わかりますか・・・んっ・・・何の返事もないけど・・・もしもし・・・わかりますか?

駅までもう一歩だったのに、二人共ついてないですね

近道をしたのが運の尽きだった、吉田さん





「許して下さい!!鬼士君・・・いや!!鬼士さん!!」

「許して下さい」という事は悪意があったという事ですよね

許すも何もないですよ・・・

人間如きが弱肉強食を語っちゃだめですよ、部長





さぁ・・・二人共・・・ディナーの時間だ






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