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空蝉 ノ 唄

空蝉 ノ 唄

俺は何の為に生きているんだろう・・・

そう思いながら薄っぺらい羽根を羽ばたかせる

空気が重く感じる

羽に空気が絡みつく

只々、生きているだけ

楽しみなどない

生きがいもない

そう只々、生きているだけなのだ




蝉はなんで鳴くんだろう

単体で蝉の鳴き声を聞いていると雑音に聞こえるが、それが寄り集まると蝉しぐれとなる

不思議なもんだ

蝉は死ぬ間際、なんで空に腹を向けて死に絶えるのだろう

それは己の寿命を呪っているのか・・・




俺はこのくそ暑い中、本能のまま泣き叫ぶ

この地には四季というものがあるらしい

俺は一つの季節しか知らない

その他の季節はどんなものなのか想像する

きっと、もっと過酷な環境なのかもしれない




シャツが汗で体にまとわりつく

蝉の成虫は一週間の命というが、実はもっと長いと何かで聞いた事がある

ただ言えるのは、一時の季節しか知らないという事

それが短命でかわいそうというのが常なのだろうが、俺はそうは思わない




あれが人というものか

なんとも不格好な生き物だ

人というものは幾多の季節を渡り歩くという

その一つの中に俺らが存在する季節が入っている

人というのも俺らがそうであるように土の暗闇で育つ時期があるのだろうか

もし、そうなら人という生き物は不憫だと何気に思う




猫がアパートの階段の踊り場で蝉を捕まえ、もて遊んでいる

もう死んだのかと猫は蝉を軽く踏む

そうすると蝉はもだえ苦しむように羽をばたつかせていた

それを横目で見ながら俺は自分の部屋の玄関のドアを閉めた





俺は重い羽根を羽ばたかせながら己の寿命が近いのだと確信した

飛んでさ迷い込んだのは今まで見た景色とは全く違う空間だった

その空間は土の中のような圧迫感があり閉鎖的だった

死期の近い俺は仰向けになり空を仰ごうと思った

だが、ここに空はなかった

俺はその閉鎖的な空間の中央で力尽きた



この暑さに蒸れた部屋に入るのが嫌だから窓は開けっぱなしにしている

それでもこの絡みつく暑さは精神的にやられる

境界線もない玄関を通り過ぎ、部屋に入ると一匹の蝉が仰向けになり死んでいた





2017091319140974e.jpg


俺はその蝉をしばらく眺めていた

そして蝉を拾い上げベランダに出た

その蝉を夕暮れ雲が高くそびえる彼方へと放り投げた










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